ホクシンハウスが創設されたのは1977年のことでした。設立当初、ホクシンハウスでは断熱材としてグラスウールを用いていました。ところがある日、お施主様から「冬、結露して困る」という苦情が寄せられました。急いで調べてみると、天井や床の構造の入りくんだ場所で断熱材が重みでずれてしまい、 隙間の空いていることが判明。冷たい外気が内壁に直接伝わり、結露を引き起こしていたのでした。
「満足していただける家づくり」を目指す会社にとって、結露問題は早急に解決しなければならない大きな課題。この一件がきっかけで、ホクシンハウスは本当に快適な家づくりに向け、本格的に研究・開発に取り組み始めることとなります。
ちょうどその頃、ホクシンハウスは3つの新しい工法に出合います。1つは、ビニール系の素材で壁の内側全体を覆う「内断熱工法」。2つ目は、構造体の外に断熱材を入れ、外側全体を断熱材などで覆う「外断熱工法」。3つ目が、柱の外に板材を張り、その内外の空気をコントロールする「エアサイクル工法」です。最初は画期的に思えた3つの工法でしたが、実際に施工してみると大きなギャップを感じざるを得ませんでした。
断熱性能は高いものの、木の持つ利点を生かしきれない内断熱。省エネにはなるが、コストや施工面で課題の残る外断熱。理論は正しいものの、現場での施工が難しすぎて期待通りの結果が得にくいエアサイクルーー。どの工法にも一長一短がありました。
ホクシンハウスは3つの工法の長所短所を踏まえた上で、これらを超える納得のゆく工法を編み出そうと研究・開発を続けました。こうした努力の末に、ようやく1つの工法の開発に成功。それが現在のFB工法の原型となります。
このFB工法の性能の高さを実証するため、相澤社長は自宅の敷地に内断熱、外断熱、FB工法の3種類の実験棟(約2畳)を建て、同じ条件の下で性能実験を行うことにしました。マイナス20℃近くまで冷える外気の中で、それぞれの棟を同じ温度の空気で満たし、温度・気密・換気の変化を調べてデータを記録したのです。
研究の結果、最も優れた値を示したのはFB工法でした。同時にFB工法は、施工が容易でコストがかからないこともわかりました。会社設立から10年の歳月を経て、ホクシンハウスはようやくFB工法の開発に成功したのです。
これらのデータに裏付けられて、ホクシンハウスはFB工法での家づくりを本格的に開始しました。それだけでなく、施工先のお宅で実際にデータを取らせてもらい、改良点を探りながら、さらなる研究と改善を繰り返し、現在のFB工法を確立していきました。しかし相澤社長は決してそこで満足することなく、研究・開発の歩みを止めませんでした。
当時のFB工法では、暖房の熱源を居間に設置していたため、室内に対流が起きてしまうことや、各部屋のドアを開放する必要上、音やプライバシー面で悩ましい課題がまだ残されていたのです。
そんな中、平成3年に期せずして地下室を希望されたT邸で、地下室にFFストーブを設置することになりました。地下のストーブの暖気を床下、壁の中、天井裏に自然循環させて、輻射熱によって家全体を暖めるシステムに取り組んだのです。同時に熱交換型換気システムを導入し、室内はもちろん家全体を深呼吸させる換気システムの確立にチャレンジしました。
結果は大成功、このシステムによって対流や音の問題はすべて解決されました。この成功が大きなきっかけとなり、ホクシンハウスのFB工法はその後、広く世間へと認知されていくこととなるのです。
FB工法の誕生以来、ホクシンハウスでは信頼の証しとして、全ての建物の断熱性能、気密性能、換気流量を測定し、住まいの“成績表”としてお客様にお渡ししています。